骨粗鬆症の予防と治療
骨粗鬆症を知ろう!
専門医による解説~その2
はじめに
こんにちは。このページは整形外科専門医の金井による様々な整形外科疾患の解説ページです。元ページの「コツコツグルメ」は、金井が自身の臨床経験から「あったらいいな」と思うサービスを形にしたもので、骨に関する総合的な情報提供サービスです。骨に関して不安や興味がある方は是非元ページもご供覧くださいませ。
前回記事では骨粗鬆症の概要について説明しましたが、この記事では骨粗鬆症の予防と治療について解説していきます。
骨粗鬆症の手ごわさ
今まで沢山の骨粗鬆症患者さんを診療してきましたが、率直に言って骨粗鬆症は手ごわい病気です。治療を受けていても骨折してしまうこともあります。わかりやすく言うと、例えば骨粗鬆症の治療を受けている60歳の人がいたとして、「30年後の90歳に今より骨が強いか」と問われると、いささか厳しいものがあるのです。治療によって防げる骨折の割合は、リスクの高い人で3~5割と言われています。だからこそ、対策は骨粗鬆症になる前から、予防も含めて早くからするのがおすすめなのです。
人体の不思議!骨粗鬆症にならない人
90歳を過ぎても骨折もせず骨密度が高いままの人もいます。遺伝子や体質・生活習慣が関係していると思われますが、はっきりなぜかは分かりません。かく言う私の祖母も、90歳を過ぎても未骨折・高骨密度でした。彼女が座っている所をほとんど見たことがなく、80代まで山登りをし、野草を摘んできて天ぷらにするようなミラクルガールでした。ちなみに今も健在です。
私たちにできること
体質・遺伝はどうしようもないですが、生活習慣は変えられます。私の経験上、女性・超高齢・未骨折・高骨密度の方は共通して「しっかりした食事」を摂り「転ばない脚力」を持っています。私たちにできることは、彼女たちの生活習慣を見習い「少しくらいぶつけても折れない骨」と「簡単には転ばない健脚」を獲得することです。
骨粗鬆症の予防と治療―1に食事
当たり前ですが食事はすべての基本です。材料がなければ骨を作ることはできません。まずは食事で骨の材料を摂りましょう。カルシウムだけでなく、タンパク質(魚、肉、乳製品など)やビタミンD(青魚やきのこ類)、ビタミンK(納豆や緑黄色野菜)も摂りましょう。とはいえ毎日毎食気を割くのも大変です。
具体的な対策方法は栄養から見た『骨活』と題して別で解説します。
骨粗鬆症の予防と治療-2に運動
材料を摂ったあとは適度な運動をしましょう。運動が重要な理由は2つあり、「骨に適度なストレスを与え代謝を促すから」と「転ばない筋力の維持に有用だから」です。骨で自重を支える運動が骨密度の維持や上昇に役立つことが分かっており、具体的にはウォーキングや太極拳などがおすすめです。可能なら縄跳びも有効です。また日光を一日15分以上浴びれば、皮膚からビタミンDの生成も期待できます。おうちで出来る運動では片足立ち、かかと上げ、スクワットがおすすめです。運動能力は人によって様々なので、できる範囲で運動を続けてくださいね。
骨粗鬆症の予防と治療-3に投薬
実は、「生活習慣を見直すこと」のみによる骨粗鬆症治療はあまりエビデンスが強くありません。骨粗鬆症の「予防」には効果的で「治療」でも基本なのですが、やはりそれでも代謝のバランスは崩れてしまうし、体力は衰えてしまうからです。そこで薬の出番となります。骨粗鬆症の診断を受けた人は、生活習慣を見直した上で遠慮なく投薬を受けるべきです。今は代謝を調整する色んな種類の薬があるので、主治医の先生によく相談してくださいね。
運動と投薬についての具体的な対策方法は代謝から見た『骨活』と題して別で解説します。
骨粗鬆症の予防と治療-知られざる4本目の柱
治療の3本の柱は、前述の通り「食事」「運動」「投薬」です。しかし、骨粗鬆症の治療を難しくしている大きな問題点として「症状がないため、治療をやめてしまう人が多いこと」があり、治療開始後5年以内に50%以上の人が辞めてしまっていることが知られています。つまり4本目の柱は「継続」であり、「本人が骨粗鬆症(あるいはその予備軍)であるという自覚を持って生活すること」が何より大切なのです。
おわりに
本記事では骨粗鬆症の手ごわさと、予防と治療について解説してきました。長年骨粗鬆症と向き合ってきた整形外科医として、皆さんが骨粗鬆症を知り、向き合うお手伝いが出来たらうれしいです。
話に出てきた治療の4本の柱を覚えておいてくださいね。忘れたらまたこのページに遊びに来てください。
持病や体力等の問題で難しい部分もあると思いますが、皆さんそれぞれ出来る範囲でなるべく骨粗鬆症とはうまく付き合って、いつまでも元気な体で過ごしていきましょう。
骨の治癒には、骨の材料がないと十分な効果が得られません。日々の食事から必要な栄養素(特にカルシウムとビタミンD)をしっかり摂る「骨活」も、治療の土台として欠かせません。
この記事のリマインドの意味を込めて「コツコツグルメ」の公式ラインを是非ご活用下さい。専門医からの定期メッセージが届きます。

【免責事項】 本記事の内容は、執筆時点でのガイドラインやエビデンスに基づき作成しておりますが、医学的情報の正確性や安全性を完全に保証するものではありません。 個々の患者様の病状や体質によって適切な治療法は異なります。自己判断での治療中断や変更は行わず、必ず主治医にご相談ください。
参考資料:
記事一覧はこちらから


創業医師 金井 研三(かない けんぞう)
東京生まれ湘南育ちの射手座。
横浜市立大学医学部卒、臨床経験10年超の整形外科専門医。
専門は脊椎外科。急性期病院で多忙な日々を送り研鑽したのち、地域医療に携わる。
地域における超高齢化と骨粗鬆症の増加に強い危機感を抱き、現役医師として働く傍ら、骨粗鬆症予防専門の食品と情報提供サービス「コツコツグルメ」を開発。予防医学×ビジネスに医師が直接コミットする必要性を訴えている。
「食から骨を守る」新しい仕組みづくりを通じて、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』目標11『住み続けられるまちづくりを』の実現に貢献している。
日本の健康寿命を延ばし、骨折を減らして整形外科医の仕事をなくす――そんな未来を目指して、日々、啓発活動と臨床に取り組んでいる。