骨折が治るまで

骨粗鬆症について知ろう!

専門医による解説~その11

はじめに

 

 こんにちは。このページは整形外科専門医の金井による様々な整形外科疾患の解説ページです。元ページの「コツコツグルメ」は、金井が自身の臨床経験から「あったらいいな」と思うサービスを形にしたもので、骨粗鬆症専用の食事サービスです。骨の栄養に興味がある方は是非元ページもご供覧くださいませ。
 さて、今回の記事では「骨折してから治るまで」についてなるべく分かりやすく解説していきます。難しい話は出てきません。

骨折はなぜ重要か?

 

 怪我をして整形外科にいくと、すぐレントゲンなどで「骨折しているか確認」しますよね。それはなぜでしょう?

 答えは、骨折は「放っておくと大変になる」からです。骨の2つの特徴「非常に硬い」と「自動修復」が関係します。順に説明します。

骨の特徴

 

 骨の最大の役割は身体を支えることで、二つの特徴があります。

 一つ目の特徴は、体重を支えるため「非常に硬く丈夫」という事です。筋肉や靱帯は一本くらい切れても動かせますが、骨は一本折れたら基本的に動かせなくなります。

 二つ目の特徴は、「自動修復」するという事です。骨を作る細胞と壊す細胞が居り、常に骨を作り替える「骨代謝」があるからです。

骨折とは

 

 では、骨折とは何でしょうか。簡単に定義するならば、「硬い骨が割れて変形しそうな状態」です。

 では、変形するとどうなるでしょうか。答えは「変形したまま自動修復し硬くなる」です。

 変形したまま自動修復し硬くなると、部位によって長く続く痛みの原因になったり、手足や体幹の機能に悪影響が出たり、変形した見た目が気になったりします。これが骨折は「放っておくと大変になる」理由です。

骨折したらどうする?

 

 整形外科医は骨折をレントゲンなどで診断した後、折れた「部位」と「具合」を確認し手術が必要か考えます。「部位」と「具合」が悪ければ手術を勧め、悪くなければ手術をしない治療法を勧めます。どっちもどっちの場合もあります。少し詳しく解説します。

骨折の部位

 

 骨折が「関節内に及んでいるか」と「血のめぐりが悪い部位か」が重要です。

 関節面(骨と骨が接して曲げ伸ばしを行う部位)の骨が変形したまま硬くなると、動きが悪くなったり痛みが続いたり関節が壊れてきたりするので一般的に関節内に骨折が及ぶ場合は手術の必要性が高くなります。

 血のめぐりが悪い自動修復が上手く働かず、骨が上手く治らない「骨壊死」や「偽関節」を起こしやすいため手術の必要性が高くなります。

骨折の具合

 

 折れ方は縦割れか、横割れか、ナナメのらせん骨折か。骨にヒビだけ入って表面の膜(骨膜)は保たれている状態なのか、骨折部が大きくズレがあるのか。変形角度は何度くらいか、骨が短縮してしまっているか。

 骨折の種類も様々で、反復動作など繰り返す刺激によって起こる疲労骨折や、粉々に砕ける粉砕骨折、骨が皮膚を貫いてしまう開放骨折(複雑骨折)などがあります。

 骨折の「部位」と「具合」を合わせて考え「手術を勧めるか」どうか判断するわけです。

骨折してから治るまで

 

 手術の有無にかかわらず、骨折部を安静にし、骨がくっついて治る「癒合」を待ちます。癒合には目安があります。安静をはじめた日を0として、

 2週間   軟骨が骨折部を覆う、軟骨はまだガラスみたいな強度

 3~5週間 ⇒軟骨が徐々に硬骨に置き換わり、強度が上がる

 6~8週間 ⇒体重を支えられる強度になり、固定安静が不要になる

上記を目安に考えます。例外として一部の骨折(股関節や肩関節が多い)では骨を人工の関節に取り替える場合もあります。人工関節の場合は骨は無くなるので癒合は考えないで大丈夫です。

骨折とリハビリテーション

 

 骨折後、癒合するためには固定安静が望ましいわけですが、ずっと動かさないと関節が固くなり動かせなくなる「拘縮」が起こります。骨がうまく癒合し、かつ関節が拘縮を起こさない絶妙なリハビリ計画を整形外科医は結構一生懸命考えます。

手術する場合

 

 手術の目的は「骨のズレの修復」と「固定」です。手術によって骨折部のズレを整え、チタン合金製インプラントで固定する事が多いです。手術で創が出来るのと、全身麻酔手術のリスクを負う必要があります。術後はどれくらい安定したかに応じてリハビリ計画を立てますが、しばらく装具や当て木などを併用する場合もあります。

 チタン合金MRIで問題が生じる危険性もほとんどなく、飛行機などの金属探知機もクリアすることが多いようです。もしひっかかっても、手術したと言えば基本的には大丈夫、なはずです。病院によってはインプラント証明書というのを発行している場合もあるようです。入れたインプラントは抜去する場合もしない場合もあるので主治医の先生とよく相談しましょう。

手術しない場合

 

 手術しない治療法保存療法と言います。骨折部にズレがあるものの、手術まではせずその場でグイッと治す場合も含まれます。骨折した部位に応じて当て木ギプス装具などで固定し安静を保ちます。手術のリスクを避けられるのがメリットですが、手術療法に比べてリハビリ計画はゆっくりである事が多いです。

骨折後に気をつけること

 

 骨折後は骨代謝が亢進することが知られています。当たり前ですが骨作りが盛んに行われるということです。ここで気をつけたいのが栄養です。骨の材料であるタンパク質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKはいつも以上にしっかりと摂るようにしましょう。骨折後3ヶ月程度で骨代謝が落ち着いてくるので、そこまで続けると良いでしょう。

 また、骨折の種類によっては脆弱性骨折と言い、骨粗鬆症が疑われる場合もあります。下記の骨の骨折をした場合は整形外科に相談にいきましょう。

 大腿骨頸部、大腿骨転子部、胸椎、腰椎、橈骨遠位端、上腕骨頸部、肋骨、骨盤骨、脛骨、腓骨。特に最初の5つが重要です。

回復食のススメ

 

 整形外科専門医として骨折後のリカバリー食としてお勧め出来る物が無かったので、自分で作りました。それが「コツコツグルメ」です。高タンパク、高カルシウム、高ビタミンD、高ビタミンKで栄養にこだわり、しかもおいしいフードサービスです。

 カルシウム吸収率が悪く、また「サプリで摂ると心血管疾患が増える」という報告があるのが課題です。そこで、コツコツグルメでは食品のpHを下げることでカルシウムなどのミネラルの吸収を促進する機能性原料「マルトビオン酸」を高配合しました。骨折初期は1日1品を目安として摂取頂くのが理想的ですが、出来る範囲で食生活に取り入れて頂ければ幸いです。

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おわりに

 

 今回の記事は以上です。「骨折してから治るまで」をテーマになるべく分かりやすく解説しました。少しでも参考になれば幸いです。

 次回は「全身麻酔で手術を受ける方へ」をテーマになるべく分かりやすく解説していこうと思います。

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