骨粗鬆症を知ろう!
専門医による解説~その7
胸腰椎圧迫骨折について

はじめに

 

 こんにちは。このページは整形外科専門医の金井による様々な整形外科疾患の解説ページです。元ページの「コツコツグルメ」は、金井が自身の臨床経験から「あったらいいな」と思うサービスを形にしたもので、骨粗鬆症専用の食事サービスです。骨の栄養に興味がある方は是非元ページもご供覧くださいませ。

 今回の記事では「胸腰椎圧迫骨折」について、なるべく分かりやすく解説していきます。

胸腰椎圧迫骨折とは

 

 背骨の骨折です。「高齢者が尻餅をついたら、腰痛で動けなくなった」が象徴的なエピソードです。不思議なことに本人が知らぬ間に骨折しそれが治癒する「いつの間にか骨折」もこの骨折が多いです。背中が曲がってしまったおじいさんおばあさんは、大抵胸腰椎の多発骨折を来しています。やはり、尻餅をついただけでこの骨折をすると、丈夫な骨には起こらない事なので同時に骨粗鬆症の診断になります。

治療法は

 

 大腿骨近位部骨折と違い、この骨折は通常手術せずに治す「保存治療」が選択されることが多いです。手術せずとも自然に骨癒合し疼痛が改善することが多いからです。安静と投薬、特注コルセット作成とリハビリが治療の基本です。痛みの経過は人によりますが1ヶ月目くらいから徐々に良くなることが多いです。骨がちゃんとくっつくまでは通常2~3ヶ月ほどかかります。痛みの程度に応じては入院になります。

手術が勧められる場合は?

 

 「骨折が重症な場合」か「うまく治らずずっと痛い場合」か「背骨が変形し神経に障ってしまった場合」のいずれかです。骨折が重症な場合は「破裂骨折」と呼ばれ、受傷早期から手術を勧められる場合もあります。うまく治らずずっと痛いのが「偽関節」、背骨が変形し神経に障るのが「骨折後遅発性神経障害」です。最近では「偽関節」や「変形が高度」に至る前に早めに手術を勧める考え方もあります

どんな手術をするの?

 

 考える順番は「背骨の修復」→「神経のレスキュー」→「不安定な背骨は固定」です。潰れた背骨は特殊な医療用風船やネジを使って出来る範囲で形を戻し、セメントや人工骨を補填します。神経が圧迫されている場合は周囲の骨や軟部組織を削って圧迫を取り除きます。固定性に不安がある場合は周囲の背骨にネジを入れて固定を強化します。手術の細かい作戦はかなりケースバイケースです。

リハビリ計画

 

 手術をしない場合はコルセットが完成してから、手術した場合は術後から、コルセットをつけて立ったり歩いたりのリハビリを行います。痛みとリハビリの進度によって通常数週間から数ヶ月間で退院になることが多いです。大腿骨近位部骨折と同じく、退院後の生活は関係者みんなで相談して決めます。この骨折を機に介護保険申請になる方も多くいます。
 大腿骨と同じく骨折を癒合させることが大切で、癒合がうまくいかないと「偽関節」となり痛みがいつまでも残り後から手術が必要になる場合があります。骨折後は食事でしっかり骨の材料を摂るようにしましょう。

私から伝えたいこと

 

 胸椎と腰椎は合わせて17個もあるので、骨折の連鎖が多いのが特徴です。1つ折れた時に次の骨折予防を怠ると、複数の背骨の骨折を招き、背骨がまっすぐではなくなり慢性腰痛や姿勢異常を来すリスクが高まります。やはり、予防が大切なのです。予防は1つも折れていない時から始めるのが理想です。骨粗鬆症を理解し、まず食事運動、診断がついたらをしっかり飲みましょう。

おわりに

 

 今回の記事は以上です。「胸腰椎圧迫骨折」についてなるべく分かりやすく解説しました。手前味噌ですが、この骨折の予防や骨折した後のリカバリー食としても「コツコツグルメ」をお役立てください。初回限定クーポン「FT20」でお得に試すことも出来ますよ。

 次回は骨粗鬆症と関連の深い「腰部脊柱管狭窄症」について解説していこうと思います。

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