骨粗鬆症を知ろう!
専門医による解説~その5 
機能性原料と医薬品の違い

はじめに


 こんにちは。このページは整形外科専門医の金井による様々な整形外科疾患の解説ページです。元ページの「コツコツグルメ」は、金井が自身の臨床経験から「あったらいいな」と思うサービスを形にしたもので、骨粗鬆症専用の食事サービスです。骨の栄養に興味がある方は是非元ページもご供覧くださいませ。

 この記事では機能性表示食品素材(以下機能性原料)と医薬品の違い、機能性原料「マルトビオン酸」について医師である私の見解を解説していきます。

「コツコツグルメ」と機能性原料


 「コツコツグルメ」には「マルトビオン酸」という機能性原料が含まれています。「マルトビオン酸」には「ミネラル吸収促進」「骨密度維持に役立つ」「便通改善効果」という機能性の表示が許可されています。この意味を医師の視点から考えてみたいと思います。

機能性表示食品とは


 一言で言うと、「事業者が比較的簡便に取れる、科学的根拠に基づいた機能の表示許可」です。国の定めるルールに基づき、事業者が「事業者自身の責任で安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要事項を消費者庁に届け出れば取得可能です。特定保健用食品(トクホ)は国の審査があるので、機能性表示の方が敷居は低いですね。

世間を騒がせた機能性原料「紅麹」に関して


 ここで「紅麹」について触れておきます。2024年3月に小林製薬の機能性原料「紅麹」を使用した製品での死亡者を含めた健康被害が大きなニュースになり、機能性原料に対する信用は大きく毀損しました。

「紅麹」は危険なのか


 2024年7月現在の情報では、調査の結果紅麹自体が毒素だったわけでは無く、工場内の青カビが産生した毒素が原因だったようです。このニュースをもって「紅麹」=毒、「機能性原料」=危険と考えるのは行き過ぎだと思いますが、ルールを見直すきっかけにはなるかもしれないですね。

機能性原料について医師の私見①


 では、簡便な科学的根拠(エビデンス)についてつっこんで見てみましょう。「マルトビオン酸」についてのサンエイ糖化株式会社のホームページで公開されている臨床研究を見てみると、「50~60歳代の女性19名に24週間8g/日のマルトビオン酸カルシウムを投与すると、カルシウムだけ飲んでいた人に比べ腰椎の骨密度が有意に維持された」と書いてあります。なるほど、効果があったのだな、と感じますよね。

機能性原料について医師の私見②


 次に医薬品リセドロネートのエビデンスレベルの高い研究(メタアナリシス)を見てみます。「閉経後の女性2138人に1.5~3年間5mg/日のリセドロネートを投与すると、偽薬を投与した方に比べて腰椎骨密度が4.54%上昇した」とあります。先ほどの研究と同じような構造ではありますが、規模と結果のレベルが違うことがわかります。これは良い悪いでなく、これが機能性原料と医薬品の違いなのです。

機能性原料について医師の私見③


 以上より、医薬品の方が効果や安全性についてよく検討されている、ということは確かです。だから、医薬品は保険診療で扱われ、税金で大部分が賄われるのです。その代わり、保険医療の実施者である「医師」の診断と処方が必要です。機能性原料は「医薬品ほど十分研究されているわけではないけれど、効果が示唆されているよ。」そして、「税金で賄われたりはしない代わりにいつでも誰でも使えるよ」ということです。

機能性原料の存在意義


 では、機能性原料は不要な存在でしょうか。私の答えは「いいえ」です。「いつでも誰でも使える」ということはとても重要です。「治療」には使えなくても「予防」と「治療の補助には多いに使えるからです。

なぜ「コツコツグルメ」にマルトビオン酸が入っているか


 骨粗鬆症の患者や予備軍の人は多くは高齢者で、食事をたくさん摂れない方が多いです。また、通じに悩みを抱えている方もとても多いです。マルトビオン酸はカルシウムとくっついたまま良く水に溶け、小腸でカルシウムだけ離して良く吸収させた後、大腸で乳酸菌のエサになります。カルシウム量の底上げになり、少ない食事でもミネラル吸収効率を高め、便通改善の副次的効果も期待出来ます。骨粗鬆症の「予防」と「治療の補助にぴったりだと考えたわけです。

 ちなみに「コツコツグルメ」自体も今後、機能性表示を申請する予定です。

おわりに


 今回の記事は以上です。機能性原料と「マルトビオン酸」について、そしてなぜ「コツコツグルメ」には「マルトビオン酸」が入っているかを医師の視点から細かく解説しました。まだ試していないという方は初回限定クーポン「FT20」で1日1品、ぜひ試してみてくださいね。

 次回は骨粗鬆症と最も関係の深い「大腿骨近位部骨折」について解説していこうと思います。

過去記事一覧:

参考資料: