骨粗鬆症を知ろう!
専門医による解説~その1
骨粗鬆症について
はじめに
こんにちは。このページは整形外科専門医の金井による様々な整形外科疾患の解説ページです。元ページの「コツコツグルメ」は、金井が自身の臨床経験から「あったらいいな」と思うサービスを形にしたもので、骨粗鬆症専用の食事サービスです。骨の栄養に興味がある方は是非元ページもご供覧くださいませ。
今回の記事では「骨粗鬆症」について、なるべく分かりやすく解説していきます。ご自身が骨粗鬆症の方、ご家族が骨粗鬆症の方、骨粗鬆症について興味がある方。整形外科専門医である私だからこそ、皆さんにお伝えしたいことが山ほどあります!なるべく分かりやすく解説していきますね。このページで勉強すれば骨粗鬆症の知識はばっちりです!今回は「骨粗鬆症とはなにか」について話していきます!
骨の耐用年数って知っていますか?
人の体には骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)が居て、常に骨の作り替え(骨の代謝といいます)を行って強度を保っています。私たちが暮らす建物の耐用年数は木材で22年、鉄骨で34年、鉄筋コンクリートでも47年と言われますが、カルシウムとタンパク質で出来ている人間の骨は、この骨代謝のおかげでリフォームなしで「健全であれば」半永久的に持つのです。
骨粗鬆症とは?
しかし、骨代謝も万能ではありません。子どもの頃は骨を作り替える力が強く、ホルモンの指令で背は伸びますし骨折をしてもすぐに治ってしまいますが、歳を経るにつれて徐々に骨代謝のバランスが崩れてきてしまいます。骨を壊す作用が骨を作る作用より強くなってしまい、骨が脆く折れやすくなってしまった状態を骨粗鬆症と言います。
骨粗鬆症の何が怖いの?
骨粗鬆症それ自体は無症状ですが、ちょっと転んだだけで骨折し元気だった方が寝たきり(10%程度は骨折が原因です)になることもあります。骨粗鬆症が重篤な人は、転ばなくても腰椎や股関節を骨折する「いつのまにか骨折」というものもあります。私は整形外科医として沢山そういった患者さんを診療してきました。
実際にいた患者さんの例
こんな患者さんがいました。近くの整形外科で骨粗鬆症と診断されたものの「症状もないし、ただの老化現象だろう」と考え、通院も止めて放置していました。孫の結婚式に出るため外出する際に玄関で転んでしまい、股関節を骨折。すぐに救急搬送となり、結婚式出席どころかそのまま緊急入院となり、手術をしました。普段の運動不足もたたり、リハビリをしても結局満足に歩けなくなってしまい、残念ながら自宅に一度も帰れることなく施設に入所されました。口癖は「ちょっと転んだだけなのにねえ」でした。
骨粗鬆症は日本にどれくらいいるの?
日本には骨粗鬆症の人が約1280万人居ると言われ、特に女性が多く約980万人です。このデータは有名なのですが、実はこれ2010年の日本における年齢別の骨粗鬆症有病率(病気の人の割合)の研究結果を、2005年の人口動態に当てはめた推算によるもので、古いデータです。2005年の女性高齢者(65歳以上)は約1460万人である事と、骨粗鬆症の人はほとんどが高齢者である事から考えると、女性高齢者が骨粗鬆症である確率はなんと約67%と推計できます。2024年現在の人口動態に当てはめると、あくまで推計ですが骨粗鬆症の人は1800万人を超えている計算になりますね。糖尿病の数が約950万人と言いますから、骨粗鬆症は非常に数が多いことがわかります。
骨粗鬆症の種類とは?
骨粗鬆症は大きく3つの種類に分けられます。女性特有の「閉経後骨粗鬆症」、男女問わず高齢になると誰しもリスクのある「老年性骨粗鬆症」、そして「その他の骨粗鬆症」です。厳密にいうともう少し細かいし、それぞれの要素が混ざり合うことが多いですが、大体上の3つで考えるとよいと思います。以下で簡単に解説します。
閉経後骨粗鬆症って?
壮年以後の女性特有のホルモンバランスによるものです。女性ホルモンには「骨を壊す細胞を抑える効果」があるので、女性ホルモンの働きが弱くなってしまうと骨を壊す作用が強くなり骨の強度が下がる、というものです。骨粗鬆症が女性に多いのはこの閉経後骨粗鬆症が多い為なのです。
老年性骨粗鬆症って?
性別にかかわらず高齢になるにつれて起きてくるものです。歳を経ると骨代謝自体が低くなり、主に骨を作る作用が弱くなることによって骨の強度が下がる、というものです。他、カルシウムを体内に吸収する力が減少することも一因と言われています。
その他の骨粗鬆症って
ほかの病気や薬の影響、栄養状態などその他の原因により起こるもので、その原因に対する対策が必要になります。ステロイド薬を常用している方や、内分泌(ホルモン)の病気がある方、低栄養状態の方、悪性腫瘍により骨折しやすくなっている方などが含まれます。
骨粗鬆症の診断、骨密度だけじゃない?
骨粗鬆症の診断といえば、「骨密度検査」が有名かもしれませんが、実は「骨折しただけで診断」される場合もあります。転んだだけで背骨や股関節の骨が折れた場合、それは丈夫な骨には起こらない事なので、それだけで治療が必要な骨粗鬆症と診断されるのです。重要なのは骨密度だけでなく、骨の質も含めた「骨折のしやすさ(骨強度)」であり、総合的に診断されるのです。
こんな人は整形外科にいきましょう
ほかにも肋骨、骨盤、上腕骨(肩の骨)、橈骨(手首の骨)、下腿骨(膝から足の骨)も簡単に骨折してしまったことがある方や、ご両親に股関節の骨折歴がある方などは骨粗鬆症と診断される可能性があります。ご自身や、ご家族が骨粗鬆症か心配な方は整形外科に相談にいきましょう。
おわりに
今回の記事は以上です。骨粗鬆症について理解が深まれば幸いです。骨粗鬆症は予防が大事です。次の記事では骨粗鬆症の予防と治療について解説していきます。手前味噌ですが、栄養に不安がある人は骨に良い栄養たっぷりでしかも美味しい「コツコツグルメ」、是非一度食べてみてください。初回限定クーポン「FT20」でお得に試せますよ。
過去記事一覧:
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その1 骨粗鬆症について
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その2 骨粗鬆症の予防と治療
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その3 骨に必要な栄養素
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その4 栄養療法とエビデンス
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その5 機能性原料と医薬品の違い
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その6 大腿骨近位部骨折
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その7 胸腰椎圧迫骨折
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その8 腰部脊柱管狭窄症
- 骨粗鬆症について知ろう!専門医による解説~その9 変形性膝関節症
参考資料: