【整形外科医解説】

すべての親世代に知ってほしい
「骨育」完全ガイド

この記事でわかること(3行サマリー)

 

➀ 一生の骨の強さは**「20歳」**で決まる(それ以降は増やせない)

「思春期の痩せ」は将来の骨粗しょう症リスクを最大6倍に跳ね上げる

③ 日本の子ども達は、骨の材料である**「カルシウム」「ビタミンD」**が圧倒的に足りていない


はじめに

こんにちは。整形外科専門医の金井です。

早速ですが、皆さまはこう思っていませんか?

「骨粗しょう症は高齢者の病気であり、骨活は高齢者にのみ必要である」

これ、間違いです。

骨は、0歳から作り始め、幼年期思春期に骨形成はピークに達し、大人になってからは「維持する」期間に入ります。

40歳以降、ホルモンバランスの変化や加齢により、骨は徐々に弱くなりはじめます。

それが「骨折」として表に出てくるのが高齢者になってから、というわけです。

高齢者になってからの骨活(栄養、運動、通院)はもちろん重要ですが、医学的に理想的なのは

「赤ちゃんの時」から始めることです。

誰が始めるのか? そう、その子の親であるあなたです。

今回は、早くから骨活に取り組む

**「骨育(ほねいく)」**について、整形外科医の視点から解説します。


最大骨量(PBM)とは?

1980年代以降、多くの研究データにより

**「20歳くらいまでに、その人の一生分の骨の丈夫さが決まる」**

ということが分かってきました。この骨のピーク量を

**「最大骨量(PBM)」**

と呼びます。20歳でピークを迎えた骨量は、40歳くらいまでは維持され、その後は減少の一途をたどります。

つまり、20歳までに「どれだけ高い山(骨貯金)」を作れるかが勝負なのです。


骨の成長のピークは?

特に重要な**「骨の成長期(ゴールデンタイム)」**は人生で3回しかありません。

➀ 0歳(乳児期)

② 1~4歳(幼児期)

③ 12~17歳(思春期) ★ここが山場!

思春期終了までに「最大骨量」がほぼほぼ確定します。

その後、死ぬまでその「最大骨量」をどう切り崩して使うか、という話になるのです。


    「痩せ」のリスク~モデル体型の代償

    近年問題視されている、思春期女子の過度な「痩せ願望」

    これが将来の骨にどう影響するか、衝撃的なデータがあります。

    2025年に発表された、イスラエルの大規模研究(16-19歳の約100万人を50年以上追跡した調査)によると、以下の事実が判明しました。

    **「思春期に痩せていた(低体重)女性」は、そうでない女性に比べ、

    「将来の骨粗しょう症リスクが高い」**

    ➀ 思春期だけ痩せていた人:約 1.9倍

    ② 大人になっても痩せ続けていた人:約 6.4倍

    (出典:JAMA Netw Open. 2025)

    「細くて可愛い」と喜んでいるその体型が、将来のリスクを数倍に跳ね上げている可能性があるのです。


    日本の子どもたちと骨育の現状

    すっかり飽食の時代ですが、子ども達の栄養状態はどうでしょうか。

    「国民健康・栄養調査」等のデータを基に、成長期(15-19歳頃)の栄養状態を見てみましょう。

    栄養素役割推奨量(15-17歳)平均摂取量判定
    タンパク質骨の土台男 65g /
    女 55g
    約 79.5g
    カルシウム骨の主成分800mg /
    650mg
    463mg×
    ビタミンDCa吸収を促進9.0μg5.4μg×
    ビタミンK骨への定着150μg約 224μg

    ご覧の通り、「カルシウム」「ビタミンD」の不足が顕著です。推奨量の6~7割しか摂れていません。

    たんぱく質(肉・魚など)とビタミンK(緑黄色野菜・納豆など)は平均値では足りていますが、好き嫌いがあるお子さんは注意が必要です。


    まとめ

    今日は「最大骨量」と、思春期の「骨育」の重要性について解説しました。

    ➀ 骨の貯金ができるのは20歳まで

    **「痩せ」**は将来の骨折リスク

    ③ 現状、**栄養(特にカルシウムとビタミンD)**は全く足りていない

    コツコツグルメでは、このように科学的根拠に基づく『骨活』を、専門医による定期的な情報発信を通じてサポートしています。

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    私から伝えたいこと

    最後に、一人の親として、医師としてお伝えしたいことがあります。

    親が子に与えられるものは何でしょうか。

    愛情? 教育? お金?

    もちろんそれらも大事でしょう。

    ですが、一生自分の足で歩ける

    **「高い最大骨量(強い骨)」子どもにプレゼントすること**。

    これこそが、最も論理的で、かつ有益な愛情表現であると私は考えます。

    思い立ったが吉日。私と共に学び行動し、継続しましょう。

    この記事が、皆さまとお子さまの健やかな未来にお役立ていただければ幸いです。


    【主な引用・参考文献】

    1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版
    2. Adolescent Body Mass Index, Weight Trajectories to Adulthood, and Osteoporosis Risk Simchoni M, Landau R, Derazne E, et al. JAMA Netw Open. 2025
    3. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
    4. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」

    【免責事項】 本記事の内容は、執筆時点でのガイドラインやエビデンスに基づき作成しておりますが、医学的情報の正確性や安全性を完全に保証するものではありません。 個々の患者様の病状や体質によって適切な治療法は異なります。自己判断での治療中断や変更は行わず、必ず主治医にご相談ください。


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    創業医師  金井 研三(かない けんぞう)

    東京生まれ湘南育ちの射手座。
    横浜市立大学医学部卒、臨床経験10年超の整形外科専門医。

    専門は脊椎外科。急性期病院で多忙な日々を送り研鑽したのち、地域医療に携わる。

    地域における超高齢化と骨粗鬆症の増加に強い危機感を抱き、現役医師として働く傍ら、骨粗鬆症予防専門の食品と情報提供サービス「コツコツグルメ」を開発。予防医学×ビジネスに医師が直接コミットする必要性を訴えている。

    「食から骨を守る」新しい仕組みづくりを通じて、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』目標11『住み続けられるまちづくりを』の実現に貢献している。

    日本の健康寿命を延ばし、骨折を減らして整形外科医の仕事をなくす――そんな未来を目指して、日々、啓発活動と臨床に取り組んでいる。