【専門医が解説】

 
ロモソズマブ
『イベニティ』
について

骨粗鬆症を防ぐために!

専門医による解説
~その19

はじめに

こんにちは。このページでは、整形外科専門医・金井が様々な整形外科疾患を解説します。

今回は骨粗鬆症治療薬「イベニティ(一般名ロモソズマブ)」について、分かりやすく解説します。


イベニティとは?

イベニティ(一般名:ロモソズマブ)は、骨代謝に関わる「スクレロスチン」というタンパク質を抑えることで、

「骨吸収を抑え」

「骨形成を促す」

2つの効果がある新しい薬です。月に一回の皮下注射です。


イベニティの特長は?

骨粗鬆症治療四天王(効果の高いTOP4)の中でも2強の一つで、特長は4つ。

「デュアル・エフェクト(二重効果)」

「最強の骨密度上昇効果」

「高い値段」

「12ヶ月限定使用」

です。順に説明します。


デュアル・エフェクト(二重効果)

イベニティ最大の特徴は、「骨を作るアクセルを踏みながら、骨を壊すブレーキもかける」という二つの作用を同時に行う点です。

これにより、他のどの薬よりも効率よく、短期間で骨量を増やすことができます。


最強の骨密度上昇効果

骨折予防効果も高いのですが、骨密度上昇の「強さ」と「早さ」について圧倒的です。

1年間で背骨の骨密度を13%上げたというデータがあります。

四天王の中でも1年で10%超のデータを持つのはイベニティだけです。


③ 高い値段

薬の価格も、現状一番高いです。

月1回皮下注射約5万円(1割負担で5000円)、テリパラチドよりちょっとだけ高いです。


④ 12ヶ月限定使用

この薬は12ヶ月以上使うと効果が弱まるため「12ヶ月限定」で使う薬です。

テリパラチドと違い「一生で12ヶ月だけではない」ので、「時間を空けて再登板」することもあります。


副作用は?

注意すべきは3つ。

「注射部位反応」

「低カルシウム血症」

「心血管系事象」

です。順に説明します。


① 注射部位反応

月に1回2本の皮下注射をしますが、注射した部位の赤みや痛みが一番多い副作用です。

多くの場合は軽度で、数日で治まります。


低カルシウム血症

骨を作るために血液中のカルシウムが骨に使われるため、採血でカルシウム値が下がることがあります。

これを防ぐために、治療中はカルシウムやビタミンDの薬を併用することが基本です。


心血管系事象

海外のデータでは、心血管系の病気(脳卒中や心筋梗塞)のリスクがわずかに高まる可能性が報告されました。

そのため、「過去1年以内に脳卒中や心筋梗塞を起こした方」には使用できません。

ちなみに1年以内に脳卒中や心筋梗塞を起こしていない人に限定して使用した最近の報告では、心血管系の病気は増えなかったと言われています。

リスクとベネフィット(利益)を慎重に判断する必要がありますが、過度に恐れる必要は無く、使用にあたっては主治医とよく相談してください。


実際の効果(エビデンス)

国際的な大規模臨床試験(FRAME試験)などにおいて、イベニティを1年間投与した結果、以下のような高い骨折予防効果が確認されています。

骨折の種類骨折リスクの減少率
新規椎体骨折(背骨)73%
大腿骨近位部(股関節)アレンドロンと比べて差なし
非椎体骨折(その他の骨折)アレンドロンと比べて37%減少

と、非常に高い骨折予防効果が確認されています。


イベニティの使い方

イベニティが選ばれるのは2パターン

「重症骨粗鬆症の初期治療」

「他の薬で効果不十分の時」

です。順に説明します。


重症骨粗鬆症の初期治療

骨密度凄く低い」や、

丈夫な骨には起こらない骨折が既に起きている

など骨折のリスクが高い骨粗鬆症では、「最初に骨形成薬で骨を増やすのが良い」と言われています。

テリボンと同様骨を増やす薬として、イベニティを使います。


他の薬で効果不十分の時

他の薬を使っていたが効果が不十分だった場合、より強い薬としてイベニティへ変更するパターンがあります。

テリボンと違い、骨折リスクの状況によっては時間を空けて再投与されるケースもあります。


私から伝えたいこと

イベニティは、1年以内の心血管イベントが無い人にとって、骨を強くする「最強の薬」と言えます。

注射は嫌われがちな治療法値段も高いですが、実際に骨折が起こると今まで通りの日常には戻れない場合も多いため、

リスクが高いと判断された方は早期から骨形成薬を使いしっかり取り組まれることをお勧めします。


おわりに

今回の記事は以上です。「イベニティ(ロモソズマブ)」の特徴と、使い方について解説しました。

骨の代謝を調整する薬は、骨の材料がないと十分な効果が得られません。

日々の食事から必要な栄養素(特にカルシウムビタミンD)をしっかり摂る「骨活」も、治療の土台として欠かせません。

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【免責事項】 本記事の内容は、執筆時点でのガイドラインやエビデンスに基づき作成しておりますが、医学的情報の正確性や安全性を完全に保証するものではありません。 個々の患者様の病状や体質によって適切な治療法は異なります。自己判断での治療中断や変更は行わず、必ず主治医にご相談ください。

参考資料:

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版

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創業医師  金井 研三(かない けんぞう)

東京生まれ湘南育ちの射手座。
横浜市立大学医学部卒、臨床経験10年超の整形外科専門医。

専門は脊椎外科。急性期病院で多忙な日々を送り研鑽したのち、地域医療に携わる。

地域における超高齢化と骨粗鬆症の増加に強い危機感を抱き、現役医師として働く傍ら、骨粗鬆症予防専門の食品と情報提供サービス「コツコツグルメ」を開発。予防医学×ビジネスに医師が直接コミットする必要性を訴えている。

「食から骨を守る」新しい仕組みづくりを通じて、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』目標11『住み続けられるまちづくりを』の実現に貢献している。

日本の健康寿命を延ばし、骨折を減らして整形外科医の仕事をなくす――そんな未来を目指して、日々、啓発活動と臨床に取り組んでいる。