テリボン(テリパラチド)について

骨粗鬆症を防ぐために!

専門医による解説~その18

はじめに

 

 こんにちは。このページでは、整形外科専門医・金井が様々な整形外科疾患を解説します。今回は骨粗鬆症治療薬「テリボン(一般名テリパラチド)」について、分かりやすく解説します。

テリパラチドとは?

 

 テリパラチドは、骨を作る「骨芽細胞」の働きを促進骨代謝(骨の作り替え)を促す薬で、骨粗鬆症治療薬の中でも珍しい「骨形成促進薬」です。

 

 薬の名前としてはテリボン、フォルテオ、オスタバロ(正確にはこれはアバロパラチド)があります。

テリパラチドの特長は?

 

 骨粗鬆症治療四天王(効果の高いTOP4)の中でも2強の一つで、特長は4つ。「骨の作りかえ強化」、「高い骨折予防効果」、「値段も高い」、「自己注射」です。順に説明します。

骨の作りかえ強化

 

 数ある骨粗鬆症薬の中でも、骨代謝を上げて「骨の作りかえ強化」作用を持つのはテリパラチドだけです。骨を壊す細胞は弱く活性化し、骨を作る細胞を強く活性化することで骨を強く作りかえるのです。

② 高い骨折予防効果

 

 骨折予防効果が高く、特に背骨では強力で約80%の骨折を減らしたという報告もあります。

③ 薬の値段が高い

 

 薬の価格は高いです。例えば週2回のテリボンオートインジェクターは1本約6000円です。1割負担でも1ヶ月で5千円、年間6万円くらいです。そんなこともあり、一般的に「骨折リスクが高い方に使うべき」とされています。

④ 自己注射

 

 唯一「自己注射」が基本の薬です。毎日打つフォルテオや、週2回打つテリボンなどがあります。週に1回の病院で打ってもらう注射もあります。

 自己注射は敬遠されがちですが、注射剤の中でも針が細いのと、1回あたりの薬の量が少なくて済むので「痛くない」「副作用が出にくい」というメリットがあります。オートインジェクターなら手順も簡単です。

副作用は?

 

 多いのは3つ。「吐き気、頭痛、めまい」「高カルシウム血症」「使用期間の制限(24ヶ月)」です。順に説明します。

① 吐き気、頭痛、めまい

 

 初回投与時に吐き気、頭痛、めまいが出ることがあります。多くは軽度で一過性なので慣れると出なくなります。はじめて打った後は30分くらい安静にすると良いでしょう。予防的に鎮痛薬や吐き気止めを一緒に飲むのも良いです。

高カルシウム血症

 

 テリパラチドは骨から血液中にカルシウムを動かす作用があるので、血中カルシウムが高くなりすぎることがあります。軽度だと倦怠感や食欲不振重篤だと意識障害を生じることもあります。

使用期間の期限(24ヶ月)

 

 テリパラチドはラットの実験で長期投与により骨腫瘍を生じることがあったため(人では確認されていません)、安全を期して「生涯で合計24ヶ月(2年間)まで」と決められています。その後は別の薬へ「引き継ぐ」ことが前提になっています。

実際の効果(エビデンス)

 

 毎日投与する「フォルテオ」という薬でのエビデンスレベルの高い臨床試験では、

骨折の種類骨折リスクの減少率
新規椎体骨折(背骨)約70-80%
非椎体骨折(その他の骨折)約50-60%

と、非常に高い骨折予防効果が確認されています。

禁忌(使ってはいけない人)

 

 骨に腫瘍がある、骨パジェット病高カルシウム血症高アルカリフォスファターゼ血症の方は悪化リスクがあるため投与出来ません骨代謝疾患のある方、子どもや妊婦さんも投与出来ません。

テリパラチドの使い方

 

 テリボンが選ばれるのは大体3パターン、「重症骨粗鬆症の初期治療」か「他の薬で効果不十分の時」「鎮痛効果を期待して」です。

重症骨粗鬆症の初期治療

 

 「骨密度凄く低い」や「丈夫な骨には起こらない骨折が既に起きている」など骨折のリスクが高い骨粗鬆症では、「最初に骨形成薬で骨を増やすのが良い」と言われています。骨を増やす薬として最も合理的なのが、このテリパラチドです。

他の薬で効果不十分の時

 

 他の薬を使っていたが効果が不十分だった場合、より強い薬としてテリボンへ変更するパターンがあります。

鎮痛効果を期待して

 

 腰痛などの鎮痛効果も確認されており、これを期待してテリボンが選ばれるパターンもあります。

私から伝えたいこと

 

 骨粗鬆症治療は「骨形成薬(テリボン)→骨吸収抑制薬(プラリアやビスホスホネート)」の順で使う事で効果が高まる事が知られています(アナボリックファースト)。よって、骨折リスクが高いと判断された方はまず骨形成薬を使うべきです。

おわりに

 

 今回の記事は以上です。「テリボン(テリパラチド)」の特徴と、使い方について解説しました。

 

 骨の代謝を調整する薬は、骨の材料がないと十分な効果が得られません。日々の食事から必要な栄養素(特にカルシウムビタミンD)をしっかり摂る「骨活」も、治療の土台として欠かせません。

 

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【免責事項】 本記事の内容は、執筆時点でのガイドラインやエビデンスに基づき作成しておりますが、医学的情報の正確性や安全性を完全に保証するものではありません。 個々の患者様の病状や体質によって適切な治療法は異なります。自己判断での治療中断や変更は行わず、必ず主治医にご相談ください。

参考資料:

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
  2. Neer RM, et al. “Effect of parathyroid hormone (1-34) on fractures and bone mineral density in postmenopausal women with osteoporosis.”
    New England Journal of Medicine, 2001;344:1434-41.

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創業医師  金井 研三(かない けんぞう)

東京生まれ湘南育ちの射手座。
横浜市立大学医学部卒、臨床経験10年超の整形外科専門医。

専門は脊椎外科。急性期病院で多忙な日々を送り研鑽したのち、地域医療に携わる。

地域における超高齢化と骨粗鬆症の増加に強い危機感を抱き、現役医師として働く傍ら、骨粗鬆症予防専門の食品と情報提供サービス「コツコツグルメ」を開発。予防医学×ビジネスに医師が直接コミットする必要性を訴えている。

「食から骨を守る」新しい仕組みづくりを通じて、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』目標11『住み続けられるまちづくりを』の実現に貢献している。

日本の健康寿命を延ばし、骨折を減らして整形外科医の仕事をなくす――そんな未来を目指して、日々、啓発活動と臨床に取り組んでいる。