プラリア(デノスマブ)について

骨粗鬆症を防ぐために!

専門医による解説~その16

はじめに

 

 こんにちは。このページでは、整形外科専門医・金井が様々な整形外科疾患を解説します。今回は骨粗鬆症治療薬「プラリア(一般名デノスマブ)」について、分かりやすく解説します。

プラリアとは?

 

 プラリア(一般名:デノスマブ)は、骨を壊す「破骨細胞」の活動を抑える注射のお薬です。破骨細胞を抑える力が現行薬の中で最強の薬です。

プラリアの特長は?

 

 骨粗鬆症治療四天王の一角(効果の高いTOP4)で、特長は3つ。「続けやすい」、「効果が高い」、「値段が手頃」です。順に説明します。

継続のしやすさ

 

 半年に一度(年2回)、病院で看護師さんに皮下注射してもらうだけで、ワクチンみたいなイメージです。自己管理の必要がなく、通院していれば治療を確実に継続できます。

②高い効果

 

 飲み薬と比較して高い骨密度の上昇効果を示します。

 

 背骨の骨折の予防効果は特に強力で、約63%骨折を減らしたと報告されています。重篤な股関節の骨折など、全身の主要な骨折をまとめて予防する効果も確認されています。

③薬の値段はそこそこ

 

 比較的新しい薬なので、薬の価格はやや高めです。半年ごとに定価で25000円くらい、1割負担なら年間5000円くらいです。骨折すると多額の医療費がかかるのと、他にもっと高い薬があるので費用と効果のバランスは優れていると思います。

副作用は?

 

 ポイントは3つ。「低カルシウム血症」「骨折クラスター」「非定型骨折と顎骨壊死」です。順に説明します。

①低カルシウム血症

 

 プラリアは骨の破壊を強力に抑えるため、骨から血液へ溶け出すカルシウムの量が減り、血液中のカルシウムが下がりすぎる(低カルシウム血症)リスクがあります。

 

 これを防ぐために、基本的にカルシウムやビタミンD製剤を毎日欠かさず飲んでもらうことが多いです。

骨折クラスター

 

 プラリアは、勝手に止めると逆に骨が脆くなり骨折しやすくなることが知られています。これは「骨折クラスター」と呼ばれ、自己判断でやめると骨折するかもしれないので必ず主治医に相談して下さい。

非定型骨折と顎骨壊死

 

 破骨細胞を抑える(骨代謝を抑える)タイプの薬全般で共通して報告されている頻度が少ない副作用がこの二つです。長期間(5年以上)同じ薬を使い続けると頻度が上がります。

 

 通常と違う場所に骨折が起きたり、顎の骨が溶けたりします。起こると怖いですが、確率は0.01%くらいです。

 

 50-70%くらい骨折を防ぐ薬なので使うメリットの方がずっと大きいのがポイントです。顎骨壊死は虫歯の人に多いので、定期的に歯科通院すると良いでしょう。

実際の効果(エビデンス)

 

 大規模な臨床試験では、プラリアを3年間投与したことで、

骨折の種類骨折リスクの減少率
新規椎体骨折(背骨)74%
2椎体以上の多発椎体骨折83%
非椎体骨折(その他の骨折)57%

という、非常に高い骨折予防効果が確認されています。

プラリアの使い方

 

 プラリアが選ばれるのは次の2パターン、「使い勝手がいいから」か「骨形成薬からの引き継ぎ」です。10年くらい継続しても骨密度を上げる効果が確認されていて比較的長く使える薬です。

使い勝手の良さ

 

 「効果が高い薬の中で、投与が簡単で患者さんも楽だし、値段も手頃だから」バランスの良さが好まれて選ばれるパターンです。飲み薬からより強い薬として選択されるパターンもあるでしょう。

骨形成薬からの引き継ぎ

 

 リスクの高い骨粗鬆症などでは、まず骨形成促進薬(骨代謝を促す薬)を使うことがあります。その後、形成した骨を守る引き繋ぎの薬としてプラリアが選ばれるパターンです。

私から伝えたいこと

 

 プラリアは、注射の簡便さ、骨折を防ぐ高い効果手頃な値段を兼ね備えた、非常にバランスの良い薬と言えます。ただ、扱いには注意が必要なので決して自己判断はせず主治医の先生の指示に従うようにしましょう。

おわりに

 

 今回の記事は以上です。「プラリア」の特徴と、使い方について解説しました。

 

 次回は、飲み薬として最も強力な骨粗鬆症治療薬「ビスホスホネート製剤(アレンドロン、ボナロンなど)」についてご紹介しようと思います。

 骨の代謝を調整する薬は、骨の材料がないと十分な効果が得られません。日々の食事から必要な栄養素(特にカルシウムビタミンD)をしっかり摂る「骨活」も、治療の土台として欠かせません。

 

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【免責事項】 本記事の内容は、執筆時点でのガイドラインやエビデンスに基づき作成しておりますが、医学的情報の正確性や安全性を完全に保証するものではありません。 個々の患者様の病状や体質によって適切な治療法は異なります。自己判断での治療中断や変更は行わず、必ず主治医にご相談ください。

参考資料:

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
  2. Cummings et al. Denosumab for Prevention of Fractures in Postmenopausal Women with Osteoporosis. N Engl J Med. 2009, 361, 756-765.

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創業医師  金井 研三(かない けんぞう)

東京生まれ湘南育ちの射手座。
横浜市立大学医学部卒、臨床経験10年超の整形外科専門医。

専門は脊椎外科。急性期病院で多忙な日々を送り研鑽したのち、地域医療に携わる。

地域における超高齢化と骨粗鬆症の増加に強い危機感を抱き、現役医師として働く傍ら、骨粗鬆症予防専門の食品と情報提供サービス「コツコツグルメ」を開発。予防医学×ビジネスに医師が直接コミットする必要性を訴えている。

「食から骨を守る」新しい仕組みづくりを通じて、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』目標11『住み続けられるまちづくりを』の実現に貢献している。

日本の健康寿命を延ばし、骨折を減らして整形外科医の仕事をなくす――そんな未来を目指して、日々、啓発活動と臨床に取り組んでいる。