内科医向け骨粗鬆症治療アルゴリズムについて

はじめに

 この記事をご覧頂きありがとうございます。西横浜国際総合病院整形外科の金井研三と申します。

 

私は地域に根ざした中小規模の総合病院の勤務医です。高齢者救急、特に脊椎外科を担当しています。

今回、地域貢献の一環として私が特に力を入れている「骨粗鬆症」に関するノウハウの共有をさせて頂きます。お付き合い頂けますと幸いです。

骨粗鬆症の抱える問題

 2025年現在、骨粗鬆症は日本に1590万人いると推定されています。
 

 一方で2023年の患者調査によると、治療を受けている人数は130万人治療率は約8%です。

 

 この治療率ですが、糖尿病(患者数1000万人、治療数550万人)と比較して著しく低く、その原因の一つは罹患人数に対して治療の担い手が少ない、との指摘があります。 

 そこで、家庭医である内科医の先生方にも「スクリーニング治療導入」に関してご協力をお願いしたい、と考えております。

 

 社会的意義に加え、内科医の先生方の治療の幅を広げ、集患収益性改善にもお役立て頂けたらと思います。

 

 当院からの骨粗鬆症治療目的の逆紹介の仕組みも今後考えております。 

内科疾患と骨粗鬆症の関係

 内科疾患である糖尿病、慢性腎障害、透析、COPDは骨粗鬆症のリスク因子であり骨折のリスクが高いことが知られています。

 

 内科のかかりつけ医は、骨粗鬆症をスクリーニングし、骨折予防を開始するのに最も適した存在です。

 

 我々整形外科医の所に来る時は、すでに骨折してしまい予後を毀損してしまった後のことが多いのです。

アルゴリズムの提案

 当院の内科でも採用している、当院オリジナルのアルゴリズムを提供します。

①スクリーニング 

 

 まず、OSTAと骨折リスクの高い内科疾患で「骨密度検査を受けた方がよい患者」をスクリーニングします。

 

 骨折数低下のエビデンスレベルが高いのはFRAXなのですが、煩雑なのでまずは簡易なOSTAを使うのがオススメです。

 

 OSTAは身長と年齢だけと平易でありながら、高リスク群骨粗鬆症有病率は61%と、優秀なスクリーニング法です。

  

②診断 

 

 地域連携室を介して、当院の質の高い骨密度検査(腰椎+大腿骨)を受けて頂く事が出来ます。結果を持って貴院にお戻り頂き、骨粗鬆症と診断出来ます。

 

 骨密度に関わらず脆弱性骨折(大腿骨近位部、胸腰椎圧迫骨折)のみで骨粗鬆症と診断することも可能です。(下記フローチャートを参照)

 

 

③骨代謝マーカー測定(採血) 

 

 診断がつき、治療適応となったら次に採血ですが、私は採血と同時にビタミンD(エディロール等)を始めています。欠乏している人がほとんどで、禁忌もほぼないからです。

 

 その後、血清カルシウム(高カルシウムになっていないか)と代謝マーカー代謝が亢進しているか)を測定し追加の推奨薬剤を決定します。

④高骨折リスクの定義

 

 高骨折リスクの定義は厳密に決まっておらず総合的判断です。ここでは、イベニティのDIに書かれてある基準を採用しています。 

 

 項目の中の椎体骨折+変形重症椎体骨折)の判定は、

 

X線側面像で最低椎体高を測定し、胸椎<13mmまたは腰椎<11mmであれば再骨折リスクの高い(SQ grade3)椎体骨折である」

 

 という独自の基準を採用しています。手前味噌ですが筆者の研究でQuickSQ法(感度87%、特異度95.5%)と言います。

 

 

 Xp装置があれば非整形外科医でも高い一致率(85%以上)で診断頂けるのが特徴です。(論文執筆中です) 

⑤フォローアップについて(一例を示します)

 

 骨折リスクの低い骨粗鬆症と診断し、TRACP-5bが高値だった場合(最も多いケースです)の2年間のフォローアップ計画を下に提示します。参考になれば幸いです。 

各薬剤の特徴と使い方

 各薬剤の特徴と使い方は下記をご参照ください。 

 

 

 内服薬と在宅注射指導加算が取れるテリボンオートインジェクターなどは自院で対応頂き、

 

 イベニティなど特殊な治療薬は当院に紹介依頼、という形でも大丈夫です。

患者教育アプリについて

 オリジナルアプリを用いた患者教育服薬継続率の向上についても取り組んでいます。

 

 高齢者の利用率が高いLINEを用いて「基本知識と栄養指導」をアプリでpush型で提供するサービスです。

 

 使い方は簡単で、下記のチラシを印刷し、QRコードから公式ラインの友だち登録をして貰うだけです。

 

 宜しければこちらもご活用頂ければ幸いです。

 

 私は了承を得た上で外来LINEを開いて貰い、その場で登録してもらっています。これで登録率は100%です(笑)。

 

  

最後に

 以上、内科医向け骨粗鬆症のスクリーニングと治療のアルゴリズムについて共有させて頂きました。

 

 これを機に、この地域で関係を密にして頂ければ幸いです。

 

 入院が必要な患者さんは当院にご紹介頂き、落ち着いた骨粗鬆症患者さんは貴院へ逆紹介する形も想定出来ます。

 

 ご意見等御座いましたら当院の地域連携室までご連絡頂けますと幸いです。 

 

 今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

西横浜国際総合病院 整形外科専門医